時の記念日とは？6月10日に時間の大切さを考える理由と由来を解説

6月10日は「時の記念日」として知られ、日本で初めて「時間の大切さ」に注目するきっかけとなった記念日です。学校や家庭でも「時間を守る」ことを考える機会になるこの日。なぜこの日が時の記念日になったのか、どんな由来があるのか、子どもと一緒に学びたい内容を、楽しくわかりやすく紹介します。

時の記念日ってなに？

毎年6月10日は「時の記念日」です。これは、時間を守ることの大切さを広めるために作られた記念日で、日本の学校教育でも「時計を見て行動する」ことを教える機会として活用されています。

実は、今からおよそ1400年以上前の671年6月10日（旧暦の4月25日）、日本で初めて時計によって「時」が知らされたという記録が残っています。この日を記念して、1920年（大正9年）に「生活改善同盟会」という団体が「時の記念日」を制定しました。

時の記念日には、「時間を守ろう」「生活リズムを整えよう」「時計を大切に使おう」といったメッセージが込められています。保育園や小学校でも、時計の読み方やスケジュールを意識する授業が行われることがあります。

671年に、中大兄皇子（のちの天智天皇）が近江（現在の滋賀県）で、水時計（漏刻）という道具を使って人々に時を知らせたのが、日本における「時計の始まり」と言われています。この歴史的な出来事は、日本書紀にも記録されています。

水時計は、水が一定のスピードで流れることを利用して時間を計る道具です。一定の時間がたつと水位が変わるので、それを目印に時間をはかっていました。今のように正確なデジタル時計ではありませんが、当時としてはとても画期的な発明でした。

「時間を守る」と聞くと、ちょっと堅苦しく感じるかもしれませんが、これは「人との約束を大切にすること」や「自分の生活を整えること」にもつながります。例えば、「朝の準備を時間通りに終わらせる」「宿題を決めた時間にやる」など、自分で時間を意識して動けることが成長につながるのです。

決まった時間に起きて、ごはんを食べて、寝る。そんな当たり前のリズムが健康な生活を支えています。時の記念日は、「時間を守ること＝自分を大切にすること」という視点からも、子どもたちに伝えたい行事です。

時の記念日には、家族で「1日のスケジュールボード」を作ってみたり、「何時に何をしたか日記に書く」など、時間を意識できる遊びや取り組みを取り入れると楽しく学べます。

多くの小学校では、低学年から「時の記念日」の授業が行われています。具体的には、時計の読み方の復習や、「1時間で何ができるか」を考えるワークなど、時間感覚を育てる学びが中心です。

家庭では、「今何時？」「ごはんまであと何分？」など、日常会話の中で時間を意識させる声かけが有効です。また、アナログ時計のある生活を意識することで、自然と時計の読み方も身についていきます。

最近では、スマートフォンやタブレットに頼りがちですが、あえてアナログの目覚まし時計を使ったり、キッチンタイマーで時間を計って動く体験なども、時間の大切さを感じるきっかけになります。

時の記念日は、歴史ある日本の伝統行事であると同時に、現代を生きる私たちに「時間の使い方」を問いかけてくれる日でもあります。子どもと一緒に、「今日はどんなふうに時間を過ごした？」と話すだけでも、毎日が少し豊かに感じられるかもしれません。

時計の針が進むように、毎日は前に進んでいます。6月10日には、そんな時間の流れにちょっとだけ目を向けてみましょう。