「宿題終わった?」「あとちょっと!この動画が終わったら!」。わが家でも小学生の娘と、こんな会話をすることがあります。YouTubeを見始めたと思ったら、次から次へと動画を見てしまい、気づけば30分、1時間……。「どうして子どもはこんなにYouTubeが好きなんだろう?」と不思議になりますよね。
実は、子どもがYouTubeに夢中になる理由は、単純に「意志が弱いから」ではありません。脳の報酬系や好奇心、動画サービスの仕組みなど、いくつもの要素が関係しています。今回は「なぜ子どもはYouTubeが好きすぎるの?」という疑問を、脳科学や子どもの発達という視点から考えてみます。
子どもはなぜYouTubeが好きなの?
短時間で「楽しい!」を感じられる
YouTubeには、おもしろい映像、ゲーム実況、音楽、動物、工作など、子どもの興味を引くコンテンツがたくさんあります。テレビ番組と違って、見たいものを検索すればすぐに楽しめるのも魅力です。
次々と刺激がやってくる
テンポの速い動画では、映像や音、場面が短時間で次々と変化します。「次は何が起こるんだろう?」という期待が続くため、画面から目を離しにくくなることがあります。
さらに関連動画などから次の動画を簡単に見つけられるため、「もう1本だけ」が続きやすいのです。
YouTubeと脳の「報酬系」の関係
楽しい経験を繰り返したくなる脳の仕組み
私たちの脳には、うれしいことや楽しいことが起きると「またやりたい」と感じ、行動を繰り返す学習の仕組みがあります。こうした働きには、脳内の神経伝達物質であるドーパミンなどが関わっています。
YouTubeで大好きなキャラクターが登場したり、おもしろい場面を見たりすれば、「もっと見たい」と感じるのは不思議なことではありません。
ドーパミン=悪者ではない
「YouTubeを見るとドーパミンが出るから危険」といった説明を見かけることがありますが、ドーパミンそのものが悪いわけではありません。
ドーパミンは学習や意欲などにも関わる大切な神経伝達物質です。問題になるのは、動画を見ることだけが生活の中心になり、睡眠や勉強、運動などに影響が出てしまう場合です。
「次の動画」が気になるのはなぜ?
脳は新しいものが大好き
子どもは好奇心が旺盛です。特に「知らなかった!」「次はどうなるの?」という新しい刺激には自然と興味を持ちます。
YouTubeには膨大な数の動画があり、一つ見終わっても別のおもしろそうな動画が見つかります。
自動再生も「やめどき」を難しくする
テレビなら番組が終われば一つの区切りになります。しかし動画サービスでは、視聴後に関連するコンテンツが表示されたり、自動的に次の動画へ進んだりすることがあります。
大人でも「あと1本」となってしまいますから、子どもが自分だけで視聴を終えるのが難しいことがあるのも納得できます。
子どもがYouTubeをやめられないのは意志が弱いから?
自分をコントロールする力は発達途中
子どもの脳は成長の途中です。計画を立てたり、衝動を抑えたり、目の前の楽しみを我慢したりすることに関係する脳の機能も発達していきます。
そのため「明日は学校だから自分で30分でやめよう」と大人と同じように判断することが難しい場合があります。
親が「やめるきっかけ」を作る
そこで大切なのが家庭のルールです。「動画は宿題が終わってから」「夜は○時まで」など、親子で分かりやすい約束を決めておくとよいでしょう。
タイマーを使って終了時間を見える化するのも一つの方法です。
YouTubeは子どもに悪影響しかない?
上手に使えば学習にも活用できる
YouTubeには娯楽動画だけでなく、科学実験や歴史、英語、工作、料理など、子どもの「知りたい!」を広げてくれるコンテンツもあります。
例えば、学校で宇宙について習った日に月や惑星の動画を見ると、教科書だけでは分かりにくかった内容を映像で理解できることがあります。
「見る」から「やってみる」へ
動画で工作を見たら実際に作る、料理を見たら親子で挑戦する、昆虫を見たら公園へ探しに行く。このように画面の中の興味を現実の体験につなげると、YouTubeが新しい好奇心の入口になります。
親子で決めたいYouTubeのルール
時間だけでなく「いつ見るか」を決める
「1日○分」と時間だけを決める方法もありますが、「宿題と明日の準備が終わったら見る」「食事中は見ない」「寝る直前は避ける」といった生活の流れに合わせた約束も大切です。
親が一方的に禁止するより、子どもと一緒に「どうすれば気持ちよく楽しめる?」と考えてみるのがおすすめです。
親もスマホの使い方を振り返ってみる
ここは父親として少し耳が痛いところです。子どもに「YouTubeばかり見ない!」と言いながら、私がずっとスマホを見ていたら説得力がありません。
親子で「夕食中はスマホを置こう」「寝る前は画面を見ない時間にしよう」と取り組めば、子どもだけのルールではなく家族の習慣になります。
YouTubeとうまく付き合う力を育てよう
子どもがYouTubeを好きなのは、動画がおもしろいことに加えて、好奇心や脳の報酬系、発達段階、次々とコンテンツが表示されるサービスの仕組みなど、さまざまな理由が重なっていると考えられます。
だからこそ「YouTubeは禁止!」とするだけではなく、なぜやめにくいのかを親子で知ることが大切です。わが家でも「あと1本!」と言われると困ってしまいますが、YouTubeそのものを敵にするのではなく、生活とのバランスを一緒に考えていきたいと思っています。
動画を楽しむ時間、外で遊ぶ時間、本を読む時間、家族で話す時間。いろいろな楽しみを経験しながら、自分で「そろそろ終わり」と判断できる力を少しずつ育てていけたらいいですね。


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